㈱IHI様【エア漏れ診断・LF10導入後インタビュー】

株式会社IHI 様

総合重工業グループ株式会社IHI(以下IHIという。)の資源・エネルギー・環境部門を担っているIHI相生工場様では、CO2排出量の見える化活動の一環としてエア漏れ診断サービスとエア漏れ可視化カメラを導入いただきました。そこで導入に至った経緯や成果、今後の省エネの取り組みに関して
資源・エネルギー・環境事業領域 CSSBU 相生工場 製造部工作技術グループの今田様にお話を伺いました。


貴社の事業内容を教えてください。

IHI相生工場(以下相工)では火力発電用のボイラーやタンク(LNG、アンモニア)などを製造しております。また”ものづくり力”をもって、カーボンニュートラル社会に”なくてはならない”生産拠点として脱CO2・循環型社会の実現に貢献するというミッションのもとメタネーション装置の製造なども行っております。

弊社のカメラの導入のきっかけを教えてください。

相工では過去に2回エネルギーの見える化に取り組んできました。
1回目は2019年に行いました。省エネ法に基づいて管理標準を設定した際に作成した統括表・エネルギーフロー図をもとに、設備ごとに使用しているエネルギーを洗い出し、原油換算したものを円グラフにしてエネルギー使用の大きい設備から順に見える化を行いました。
相工全体としては30%弱の設備で使用している電気と燃料が見える化できました。しかし結果としては、当初期待していたような削減効果が見られませんでした。

 なるほど。1回目は少し期待とは違う結果となったのですね。

2回目は2022年に高度情報マネジメント統括本部を主体として、PUSHLOGと電力計を導入しクラウド上でエネルギーの見える化を行い、メイン建屋内の90%の設備を網羅することができました。
またBIツールのTableau(タブロー)を導入し、取得したデータを分析・グラフ化をしています。このツール上では週単位や確認したい期間に絞って無駄にしている電力と単価を確認することができます。基本的には操業時間と電力量の差を見ていて、操業時間が0の時間帯に電力消費していたらそのグラフをクリックすると、どの機械で電力消費しているのかが確認できます。

 一目で消費電力の無駄が見えるんですね。

はい、無駄が見えるようになったことで気づくこともあり、工場全体としての取り組みにつながったこともありました。
Tableauで集めたデータをグラフ化し、かっこいいモニターで工場内の誰もが見られる状況にしました。普通のモニターでもいいのですが、ロゴが入っているかつ特別感があるモニターなのでより目立って印象深くなると考えています。目立つことによってたくさんの人の目に留まり、気づきの数も増えるのではないかと思っております。

(左:かっこいいモニター)、右:かっこいいモニターと今田様)

データを見える化したことによって、コンプレッサーの使用量が多いことがわかり、製造部長に確認したところ休日の工場停止日はコンプレッサーを止めるというルールが浸透していなかったことに気づくことができました。それをきっかけに改めて工場内の圧縮エアの無駄に着目し、取引している業者に相談しエア漏れ診断の存在を知り実施に至りました。

エア漏れ診断を実施いただいてどのような成果が出ましたか。

エア漏れ診断では全部で131箇所の漏れが見つかり、1,368,621円/年の損失コストがあるとの結果が出ました。診断以前も工場内を回って漏れている箇所を指摘しすぐ是正する”エアパト”という取り組みは行っていたのですが、その中でもこれだけの漏れを見つけられたのは大きかったですね。
また工場課の皆様の協力もあり、エア漏れ診断で見つかった131箇所中115箇所の是正処置(87.8%)が実施できました。損失コストは1,368,621円/年のため、単純計算で1,201,649円/年が削減された計算となります。このように金額で提示されると、これをきっかけにして様々な取り組みにアンテナが立つようになりました。現場の方や管理職の方からもたくさんの提案があり、特に待機電力に対してなぜ電力を落とせないのかをリスト化し待機電力の必要性を洗い出し不必要な場所は電力を落とすという取り組みにつながりました。

エア漏れ診断実施後にエア漏れ可視化カメラを導入いただいた経緯をお聞かせください。

診断時発見された漏れ箇所の数が多く、報告書内のマッピングだけでは場所の特定が難しかったので、エア漏れ可視化カメラの購入に至りました。購入する際もエア漏れ診断の結果から損失額が分かっていたので、費用対効果をすぐに把握できました。

エア漏れ可視化カメラ導入後どのような成果が出ていますか。

エア漏れ対策、待機電力対策を行った結果として2022年度と2023年度の電力料を比較したところ、操業時間の差を加味しても年間560万円の削減となりました。またエア漏れ可視化カメラ購入後、5回ほど班長会内で機械の貸し出しを行ったことで、相工にて新しく50箇所の漏れが
確認できました。以前エア漏れを修繕すると新しいところからまた漏れると聞いていたので、当分はいたちごっこかなと思います。

 50箇所も見つかったのですね。やはり修繕するとその他の場所に圧力がかかり新たな漏れが発生してしまいます。弊社ではもともと漏れないような工夫をする商品も扱っておりますのでぜひお試しいただければと思います。

ところで、インタビューを通して”気づき”という言葉がたくさん出ましたが、テーマとなっているのでしょうか。

私がよく使う言葉ではありますね。やっぱりまず現状や課題に気づくこと、そこから発想→計画→実行→検証してまた気づいてその循環がとても重要であると思います。

 気づくことがきっかけになるのですね。

最後に、今現在エア漏れ以外に省エネとして取り組んでおられることはありますか。

大きいものだと、変圧器のリプレイスに取り組んでいます。
それに加えて、夜間つきっぱなしだった蛍光灯を人感センサータイプのLEDに変えたり、小さい活動ではありますが省エネは考え方を少しずつ変えていく活動という面もあると思っているのでこれをきっかけに自分もなにかしようと思ってもらえればうれしいです。

本日はお忙しい中お時間いただき誠にありがとうございました。
エア漏れ解決だけでなく、省エネや仕事への向き合い方などたくさん議論できて本当に有意義な時間となりました。
”気づき”をキーワードに弊社もより一層エア漏れに向き合っていきます。