企業概要
株式会社日本デリカサービス様は、大手コンビニエンスストアチェーン向けに、おにぎり・調理パン・惣菜・サラダなどの中食製品を製造する食品メーカーです。日本全国で消費者の食卓を支える重要な役割を担っておられます。
同社は国内に14の製造拠点を展開しており、各工場では24時間体制で大量の食品を製造しています。食品製造ラインでは、包装機器や搬送装置、エアブロー洗浄など、多岐にわたる工程で圧縮空気が使用されており、コンプレッサーは工場のエネルギー消費において大きな割合を占めています。
食品製造業では衛生管理が最優先事項であり、設備の保全活動も品質管理の一環として厳格に実施されています。その一方で、省エネルギー活動への取り組みも経営上の重要課題として位置づけられており、エネルギーコストの削減と環境負荷の低減を両立させる施策が求められていました。
導入の経緯
日本デリカサービス様では、エア漏れ検知装置の導入を検討するにあたり、複数のメーカーの機器を実際に現場で比較検証するデモンストレーションを実施されました。各機器の検出感度、操作性、コストパフォーマンスなどを総合的に評価した結果、最終的にLF10モデルを採用されました。
LF10が選ばれた最大の理由は、その優れた検出感度にありました。他社製品と比較して、より微細なエア漏れも確実に捉えることができ、現場の保全担当者からも高い評価を得ました。特に、食品工場特有の背景騒音が多い環境においても、漏洩音を正確に識別できる性能が決め手となりました。
導入以前の同社のエア漏れ対策は、工場巡回時に保全担当者が耳で漏れ音を聞き取るという方法に依存していました。この方法では、担当者の経験や聴覚の個人差に左右されるうえ、検出結果を定量的なデータとして記録・蓄積することができませんでした。
経営層からは、省エネ活動の成果を数値で示すことが求められていましたが、従来の聴覚検査ではその要求に応えることが困難でした。エア漏れの存在は感覚的に把握できても、その損失金額を具体的に算出するためのデータ基盤が欠如していたのです。この課題を解消するため、定量的なデータ取得が可能な検知機器の導入が決定されました。
活用方法
日本デリカサービス様の特徴的な取り組みは、エア漏れ検知カメラを本社で一括管理し、全国の工場に巡回させるという運用スキームを構築された点にあります。高価な機器を各工場に個別配備するのではなく、計画的な巡回運用によってコストを抑えながら全拠点をカバーする仕組みです。
具体的な運用フローは、まず本社の担当者が定期的な施設訪問時にカメラを持参し、第三者的な視点でエア漏れの調査を実施します。調査結果は詳細なレポートとしてまとめられ、漏洩箇所の写真、推定損失金額、修繕の優先順位などが明記されます。
作成されたレポートに基づき、各工場に対して修繕の推奨事項が提示されます。工場側の保全チームは、このレポートを参照しながら自工場での修繕作業を計画・実施します。本社と工場が連携した体系的なPDCAサイクルが確立されています。
この運用スキームは現在、全14拠点への展開が進められています。各工場での調査データは本社に集約され、全社的な省エネ活動の進捗管理に活用されています。工場間のベンチマーク比較により、改善余地の大きい拠点を優先的にフォローアップする体制も整いつつあります。
導入効果
カメラ導入後わずか1ヶ月で、3つの製造拠点を対象とした調査が完了しました。その結果、3工場合計で年間約28万円に相当するエア漏れ損失が特定されました。これは従来の聴覚検査では把握できなかった「見えない損失」であり、データに基づく省エネ活動の第一歩として大きな成果です。
この初期調査結果を全14工場に推定適用すると、全社合計で年間100万円以上のエア漏れ損失が存在している計算になります。これらの損失は、適切な修繕を施すことで確実に回収できるコスト削減ポテンシャルです。
特筆すべき成功事例として、ある工場で発見された圧縮空気ドライヤーからの漏洩があります。当初、ドライヤーの交換が検討されており、その費用は約80万円と見積もられていました。しかし、エア漏れ検知カメラで漏洩箇所を正確に特定した結果、UV硬化型補修材(リークエイド)による部分補修で対処できることが判明しました。補修費用はわずか約8万円で済み、実に90%のコスト削減を実現しました。
この事例は、エア漏れの正確な可視化が、単なる省エネだけでなく、設備維持費用の大幅な最適化にもつながることを示しています。「漏れている」という情報だけでなく、「どこから、どの程度漏れているか」を正確に把握することで、最適な修繕方法の選択が可能になるのです。
環境目標
日本デリカサービス様は、企業としての環境目標を明確に掲げておられます。CO2排出量の削減においては、前年比2%の継続的な削減を毎年達成することを基本目標としています。この年次目標の積み重ねにより、2030年までに2018年比で30%削減を達成する中期目標を設定されています。
さらに長期的には、2050年のカーボンニュートラル達成を最終目標として掲げておられます。食品製造業として、持続可能な社会の実現に向けた責任を果たすべく、全社を挙げた取り組みが進められています。
同社の環境活動において大きな課題となっているのが、冷凍・冷蔵設備のエネルギー消費です。食品製造業の特性上、原材料の保管から製品の出荷に至るまで、厳格な温度管理が必要であり、冷凍・冷蔵関連のエネルギー消費は工場全体の約50%を占めています。
この冷凍・冷蔵設備の省エネは技術的な難易度が高く、品質管理との両立が求められるため、一朝一夕には解決できない継続的な課題です。一方で、圧縮空気のエア漏れ対策は、品質に影響を与えることなく確実にエネルギーロスを削減できる施策であり、環境目標達成に向けた即効性の高い取り組みとして位置づけられています。
エア漏れ対策による省エネ効果は、CO2排出量の削減にも直結します。コンプレッサーの稼働時間短縮は電力消費の削減を意味し、それがそのままCO2排出量の低減につながります。日本デリカサービス様では、エア漏れ対策を環境経営の柱のひとつとして、今後も全社的な活動を拡大していく計画です。
