企業概要

株式会社ジェイテクトは、ステアリング・軸受(ベアリング)・工作機械などを手掛ける総合機械メーカーです。自動車、鉄鋼、鉄道、航空宇宙、建機、農業機械、風力発電など幅広い産業分野に製品を供給しています。

今回お話を伺った国分工場は、同社ベアリング事業発祥の地であり、各種ベアリング製品を生産する基幹工場です。カーボンニュートラル実現に向け「省エネ」「再エネ」「技術革新」の3本柱で取り組みを進めておられます。

お話を伺った方

  • 浅井様 ― CN・CE戦略室
  • 新垣様 ― 国分工場 製造技術部 設備管理課 プロジェクトマネージャー
  • 留奥様 ― 主任

エア漏れ対策のきっかけ

ジェイテクト様では以前からエア漏れの問題を認識されていましたが、漏れ箇所の特定やアプローチの仕方が分からず、最初の一歩を踏み出すハードルの高さを感じていたとのことです。エネルギーに関する議論もCO2排出量や電力使用量といった数字に留まり、現場の作業者にとって実感しにくい状況でした。

そこで、まずエアモアのエア漏れ診断サービスを徳島工場にて実施。漏れ箇所を特定し、漏れの大きさ順にランク付けされた報告書で1箇所ごとの損失コストが「見える化」されました。この結果をCO2ではなく「経費削減」「原価低減」という言葉で表現したことで、現場の意識が大きく変わったといいます。

可視化カメラの導入と選定

診断サービスの成果を受け、自社でも継続的にエア漏れ対策を行うため、可視化カメラの導入を決定されました。以前にはJFEアドバンス社の旧タイプ・新タイプ、そしてLF10を使用されたご経験もありましたが、LF10はクラウドベースのデータ出力が工場環境ではネックになっていたとのことです。

その後、アルゴリーク(AlgoLeak)を選定。64本のマイクロフォンによる検知性能について、製造現場での使用には十分な性能でありながらノイズを拾いすぎることもなく、ちょうど良いバランスであると高く評価されています。また、イニシャルコストの低さとデータ入出力のシンプルさも導入の決め手となりました。

導入成果

約1年間のエア漏れ改善活動により、以下の成果を達成されました。

342
エア漏れ発見箇所
72%
修繕完了率(245箇所)
約3t
月間CO2削減量
約70万円
月間コスト削減額

国分工場全体のCO2排出量のうち、4〜5%がエア漏れによるロスであったことも明らかになりました。カメラは四半期に1回のペースで運用し、発見→修繕→次の巡回というサイクルで効率的に改善を進めておられます。

工場全体に広がる改善文化

最も印象的だったのは、エア漏れ対策が工場全体の改善文化を大きく変えたことです。診断を受けた徳島工場では、昼休みに上司へ興奮気味に報告するほどの反響があり、国分工場でもエア漏れ検査・修繕に一丸となって取り組む機運が生まれました。

当初は億劫に思われていたエア漏れ探しが、いつしか「宝探しのように楽しんで」取り組める活動に変化。各職場の改善活動(創意工夫提案制度)と連動させ、結果を集計して互いに切磋琢磨する仕組みも構築されています。

また、普段は目立たなかった部署にもスポットが当たるようになり、各部署の重要性が数値で可視化されたことが大きな副次効果となりました。エア漏れ改善は、製造現場と裏方のリアルを数字でつなげ、組織全体の一体感を高める取り組みとなっています。

カーボンニュートラルへの展望

ジェイテクト様のカーボンニュートラル戦略は「省エネ」「再エネ」「技術革新」の3本柱で構成されています。エア漏れ対策は省エネの一環ですが、コスト削減という側面が強く、削減で浮いた費用を再生可能エネルギーや新技術への投資に回すことで、カーボンニュートラルの好循環が生まれるとのビジョンを語っていただきました。

今後の課題としては、生産部門への操作方法の展開と、「止められない生産」の中でいかにスピーディーに漏れ修繕を行うかという点を挙げられています。現在は「止める・やめる・減らす」を合言葉に、現場主導の活動と設備管理課のサポートを組み合わせた体制で早期発見・早期対応を進めておられます。