火力発電所の発電効率を支える、復水器の高い真空状態。その真空度を低下させる「真空リーク」は、空気を外へ噴き出すのではなく外部から「吸い込む」ため、目視や経験だけでは見つけにくい厄介な漏れです。本記事では、某火力発電所が音響カメラ「CRYSOUND CRY8120」を導入し、設備を止めずに真空リークを画面上で可視化した背景と効果をご紹介します。
この事例のポイント
- 外部空気の「吸い込み」で生じる超音波を捉え、目視では難しい真空リークを画面上で可視化
- 設備を止めず、少人数・短時間で点検。高所・狭所・高温部への接近回数も削減
- 復水器だけでなく高圧給水加熱器まわりにも活用し、点検の省人化・作業負担軽減を実現
工場のエア漏れ・真空リーク対策でお困りですか?
無料で相談する →- 業種
- 某火力発電所
- 設備名称
- 復水器/高圧給水加熱器
- 目的
- 真空リーク(外部空気の吸い込み)箇所の特定
- 使用製品
- 音響カメラ「CRYSOUND CRY8120」(MEMSマイク200個搭載)
復水器の真空リークとは|発電効率を下げる「空気の吸い込み」
火力発電所では、蒸気タービンで仕事を終えた蒸気を復水器で水に戻し、復水器内を高い真空状態に保つことで発電効率を維持しています。しかし、配管継手・フランジ・シール部などから外部の空気が吸い込まれる「真空リーク」が発生すると、復水器内に非凝縮ガスが増え、真空度の低下やタービン背圧の上昇につながります。
その結果、発電効率の低下・燃料コストの増加・CO₂排出量の増加に加え、溶存酸素の増加による配管・機器の腐食リスクも懸念されていました。
課題|真空リークが従来の方法では見つけにくい理由
従来、真空リークの調査には石鹸水・線香の煙・トレーサーガスなどを使い、漏れ箇所を一つひとつ探す必要がありました。しかし火力発電所の設備は範囲が広く、配管や継手の数も膨大なため、確認には多くの時間と人手がかかります。
さらに、真空リークには通常のエア漏れとは異なる難しさがありました。
- 外へ噴き出さず、内側へ吸い込む — 通常のエア漏れのようにガスが外に出ないため、目視や経験だけでは場所の特定が難しい。
- 調査範囲が広く、人手と時間がかかる — 配管・継手が多く、石鹸水や線香では一箇所ずつしか確認できない。
- 設備を止めずに調べたい — 操業中の状態で、安全に短時間で漏れ箇所を絞り込める方法が求められていた。
解決策|音響カメラ「CRYSOUND CRY8120」で超音波を可視化
そこで提案したのが、音響カメラ「CRY8120」です。CRY8120は200個のMEMSマイクで漏れに伴って発生する超音波を捉え、音源の位置をカメラ画面上に可視化できます。
真空リークの場合も、外部空気が吸い込まれる際に生じる乱流音・超音波を捉えることで、広範囲を手探りで確認するのではなく、疑わしい箇所を画面上でピンポイントに絞り込むことが可能です。
- 真空リーク(吸い込み)も可視化 — 空気が吸い込まれる際の超音波を検知し、外に噴き出さない漏れも画面上で特定できる。
- 離れた場所から非接触で確認 — 高所・狭所・高温部に近づかずに点検でき、安全性が向上する。
- 少人数・短時間で点検 — 画面で音源位置が分かるため、手探りの確認作業が不要になる。
| 比較ポイント | 従来の方法 (石鹸水・線香・トレーサーガス) |
音響カメラ CRY8120 |
|---|---|---|
| 真空リーク(吸い込み)の特定 | 外へ噴き出さないため、目視・経験では特定が難しい | 吸い込み時の乱流音・超音波を捉え、画面上で可視化 |
| 調査範囲・手間 | 広い範囲を一箇所ずつ確認。時間と人手がかかる | 画面で疑わしい箇所を絞り込み、少人数・短時間 |
| 高所・狭所・高温部 | 近づいて確認する必要がある | 離れた位置から非接触で確認でき、接近回数を削減 |
導入効果|操業を止めずに省人化・時間短縮を実現
操業中の状態のまま、復水器周辺および高圧給水加熱器まわりをCRY8120で確認しました。画面上に音源位置が表示されるため、作業者は漏れが疑われる箇所を直感的に把握でき、線香や石鹸水で一箇所ずつ探していた従来の作業が大幅に楽になりました。
- 点検作業の省人化・時間短縮 — 広い発電所内を少人数・短時間で確認できるようになった。
- 危険箇所への接近回数を削減 — 離れた位置から確認できるため、高所・狭所・高温部付近へ近づく回数を低減。
- 結果を画像で記録・共有 — 点検結果を画像として残せるため、現場内での共有や補修箇所の報告がスムーズに。
- 復水器以外にも横展開 — 復水器の真空リーク確認だけでなく、高圧給水加熱器まわりの漏れ確認にも活用できた。
結果として、発電所内の点検作業の省人化・時間短縮・作業負担の軽減につながりました。目視や経験に頼っていた真空リーク調査を「画面で見える化」することで、止められない設備を止めずに、漏れの場所だけを素早く特定できるようになりました。
