なぜエア漏れの損失額を計算すべきか

「エア漏れがある」とわかっても、実際にいくらの損失になっているのかを金額で把握していない工場は少なくありません。修理予算の稟議を通すにも、設備投資の優先順位をつけるにも、ベースとなるのは「年間〇〇万円の損失」という具体的な金額です。

米国エネルギー省(DOE)の公式資料では、圧縮空気システムの20〜30%が漏れで失われているとされており[1]、これを金額換算すると年間数十万円〜数百万円規模の電気代に直結します。本記事では、この損失額を自分で計算するための具体的な手順を解説します。

計算に必要な3つのデータ

計算は意外とシンプルで、以下の3項目さえあれば概算できます。

3ステップで損失額を計算

STEP 1

漏れによる消費電力(kW)を算出

漏れ量(cfm)× 0.18 kW/cfm = 漏れによる連続消費電力(kW)

例:エア漏れ量50cfm × 0.18 = 9kWが常時垂れ流し

STEP 2

年間電力量(kWh/年)に換算

消費電力(kW)× 年間稼働時間(h) = 年間電力量(kWh/年)

例:9kW × 4,000時間 = 36,000 kWh/年

STEP 3

年間損失額(円)を算出

年間電力量(kWh) × 電力単価(円/kWh) = 年間損失額(円)

例:36,000 kWh × 20円 = 72万円/年のロス

DOE公式の損失額計算式(参考) 年間損失額 = 漏れ箇所数 × 漏れ量(cfm/箇所) × 0.18 kW/cfm × 年間稼働時間 × 電力単価[1]

穴径別・漏れ量と年間損失額の目安

「うちの工場に何mmの穴があるか分からない」という場合は、以下の表が目安になります。たった1mmの穴でも放置すれば年間数十万円の損失になることが分かります。

※ 供給圧力0.7 MPa(約100 psig)、稼働4,000時間/年、電力単価20円/kWh、コンプレッサ効率0.18 kW/cfmで試算。出典:DOE Tip Sheet #3の表をベースに日本円換算[1]
穴径 漏れ量(cfm) 年間消費電力 年間損失額(目安)
約0.4mm0.40約288 kWh約5,800円
約0.8mm1.55約1,116 kWh約22,000円
約1.6mm6.31約4,543 kWh約91,000円
約3.2mm25.22約18,158 kWh約36万円
約6.4mm100.9約72,648 kWh約145万円

DOE資料の実例試算では、1/4インチ(約6.4mm)の漏れ10箇所 + 1/16インチ50箇所 + 1/32インチ100箇所を放置した工場で、年間 約$57,000(約860万円)の電気代ロスが発生していたと報告されています[1]

CO2排出量も同時に計算する

エア漏れの損失は電気代だけでなく、温室効果ガス(CO2)の排出にも直結します。計算は単純:

CO2排出量の計算式 年間CO2排出量(t-CO2)= 年間電力量(kWh)× CO2排出係数(kg-CO2/kWh)÷ 1,000

環境省公表のCO2排出係数(電力会社平均:約0.000441 t-CO2/kWh)を使うと、先ほどの例(年間36,000 kWh)では 約15.9 t-CO2/年の排出に相当します。脱炭素経営の文脈では、これも稟議の重要な根拠になります。

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コンプレッサー台数・稼働時間・電力単価を入力するだけで、年間損失額・改善後の削減額・CO2削減量を自動計算します。

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計算結果が「重い」と感じたら次にやること

試算した結果が年間数十万円〜数百万円規模なら、対策の費用対効果は十分にあります。次のステップは:

  1. 漏れ箇所の特定:聴覚や石けん水での点検、超音波音響検出器の活用。DOEは「超音波音響検出器が漏れ検知の最良の方法」と公式に推奨しています[1]
  2. 修理優先順位の判定:穴径の大きいものから直すと費用対効果が高い(上記表参照)
  3. 外観で見えない内部リークもチェック:バルブ・シリンダー内部の漏れは聴診器型の検知が必要

株式会社エアモアでは、超音波と独自AIで漏れ量まで数値化できる音響カメラ「アルゴリーク AL64」や、現地調査をワンストップで実施するエア漏れ診断サービスを提供しています。実際の導入企業では年間560万円規模の省エネを実現した実例もあります。

「自社で測定するのが難しい」「正確な現状把握をしたい」という場合は、お気軽にご相談ください。

参考資料

  1. U.S. Department of Energy, Industrial Technologies Program. Minimize Compressed Air Leaks(Compressed Air Tip Sheet #3), DOE/GO-102004-1964, Revised August 2004.
    https://www.energy.gov/sites/prod/files/2014/05/f16/compressed_air3.pdf
  2. U.S. Department of Energy / National Renewable Energy Laboratory. Improving Compressed Air System Performance: A Sourcebook for Industry, DOE/GO-102003-1822, November 2003.
    https://www.energy.gov/sites/default/files/2014/05/f16/compressed_air_sourcebook.pdf

※ 本記事の計算式(0.18 kW/cfm、20-30%損失率、超音波検知の推奨)はすべて上記DOE公式資料に基づいています。穴径別損失額の表はDOE Tip Sheet #3に掲載されたリーク量表(psig別・オリフィス径別)を、日本の標準条件(電力単価20円/kWh、稼働4,000h/年)に換算したものです。CO2排出係数は環境省公表の電力会社平均値を使用しています。