内部リークとは:機器の内側で起きる「見えないエア漏れ」
内部リークとは、バルブ・シリンダー・継手などの機器の内部で発生するエア漏れのことです。大気中には漏れ出ないため「シュー」という音もせず、外観からも判別がつきません。配管表面に石けん水を吹きかけても気泡が出ない、つまり従来の点検手法では発見できない厄介な漏れです。
典型的な発生場所は、ボール弁・電磁弁・逆止弁などのバルブ内部、エアシリンダーのパッキン部、レギュレーター内部のシール劣化箇所などです。米国エネルギー省(DOE)の資料でも、圧縮空気漏れの典型箇所として「バルブ・フランジ・パッキン・継手・配管接合部」などが挙げられています[1]。摩耗・経年劣化・異物噛み込みによって弁体やシール部が密閉できなくなり、本来止まるべきところで空気が抜け続けます。
外部リークとの違い
「エア漏れ」と一括りにされがちですが、内部リークと外部リークは発生場所・検知の難易度・現場への影響がまったく異なります。
| 項目 | 外部リーク | 内部リーク |
|---|---|---|
| 発生場所 | 配管継手、ホース、フランジ部など機器の外側 | バルブ、シリンダー、レギュレーターの内側 |
| 漏れ先 | 大気中 | 機器の二次側(下流配管・タンクなど) |
| 音・気配 | 「シュー」という音、振動あり | 外からは無音・無振動 |
| 発見の難易度 | 聴覚・石けん水・超音波で比較的容易 | 外観点検では不可能。専用検査が必要 |
| 主な影響 | 圧縮空気の消費量増加、電気代増大 | 圧力低下による品質不良、誤動作、設備寿命短縮 |
内部リークを放置すると何が起きるか
1. 製品品質の不良
シリンダーの内部リークが進行すると押し出し力が不足し、組立・搬送・プレス工程で位置決め精度が落ちます。精密加工ラインでは寸法不良・組付け不良として現れ、不良率の上昇に直結します。
2. 設備の誤動作・ヒヤリハット
バルブが完全に閉まらず想定外のタイミングでアクチュエータが動作する、停止すべき工程が動き続けるなど、安全面の問題に発展するケースもあります。
3. エネルギーロスの「見えない蓄積」
下流側で空気が消費され続けるため、コンプレッサーは常に高負荷で稼働し続けます。米国エネルギー省(DOE)の資料によれば、圧縮空気システム全体でコンプレッサー出力の20〜30%が漏れで失われるのが一般的とされています[1]。外部リークと違って音もないため誰も気づかず、年間で数十万円〜数百万円規模の電気代ロスにつながることがあります。
4. 保全コストの肥大化
原因不明の圧力低下が頻発すると、原因切り分けに工数がかかり、不要なバルブ交換や配管打ち替えが行われがちです。本当に交換すべき1台を特定できれば済むはずの保全費が、数倍に膨らみます。
内部リークの検知方法
圧力降下試験
系統を加圧して、一定時間後の圧力降下量から漏れ量を推定する古典的な方法です。設備を止める必要があり、漏れ箇所の特定もできない(系統全体としてしかわからない)のが弱点ですが、設備停止が許容できる場面では確実な方法です。
流量測定法
系統に流量計を設置し、本来流れないはずの待機時に流量が出ていれば内部リークがあると判断します。ただし機器ごとの切り分けが難しく、傾向把握向きの方法です。
超音波・振動検知
内部リークが発生すると、機器の内部で乱流が生じ、人間の可聴域を超える超音波(おおむね20kHz以上の帯域)が発生します。米国エネルギー省(DOE)も「超音波音響検出器の使用が漏れ検知の最良の方法」と公式資料で示しています[1]。超音波センサーや振動センサーをバルブ・シリンダーに当てることで、設備を止めずに漏れの有無と程度を判定できます。近年は機械学習で漏れの「程度」までAI判定する装置も登場し、点検作業の省力化と精度向上が両立できるようになってきました。
内部リーク検知は「外観点検では絶対に見つからない」という点で、設備保全の中でも独立した技術領域です。外部リーク対策とは別の道具・別の手順で取り組む必要があります。
内部リーク検知ならエアモアの「アルゴリーク」
株式会社エアモアでは、超音波と独自AIを組み合わせて内部リークを検出する音響カメラ「アルゴリーク AL64」を提供しています。設備を稼働させたまま、バルブやシリンダーの内部リークを「あり/なし」だけでなく「漏れ量の目安」まで可視化できるため、修理優先順位の判断・損失コストの数値化までを一気通貫で支援します。
また、自社で点検する人員・機材を確保するのが難しい工場様向けには、専門スタッフが現地で診断するエア漏れ診断サービスもご用意しています。導入企業では年間560万円規模の省エネ実績もあり、内部リークの「見える化」から改善までワンストップでお任せいただけます。
「最近、原因不明の圧力低下が増えてきた」「バルブを定期交換しているが本当に必要か疑問」といったお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
参考資料
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U.S. Department of Energy, Industrial Technologies Program. Minimize Compressed Air Leaks(Compressed Air Tip Sheet #3), DOE/GO-102004-1964, Revised August 2004.
https://www.energy.gov/sites/prod/files/2014/05/f16/compressed_air3.pdf -
U.S. Department of Energy / National Renewable Energy Laboratory. Improving Compressed Air System Performance: A Sourcebook for Industry, DOE/GO-102003-1822, November 2003.
https://www.energy.gov/sites/default/files/2014/05/f16/compressed_air_sourcebook.pdf
※ 本記事で引用した「圧縮空気の20〜30%が漏れで失われる」「超音波音響検出器が漏れ検知の最良の方法」「典型的な漏れ箇所」等の記述は、上記DOE公式資料に基づいています。バルブ内部リーク(=機器シート部の漏れ)の試験規格としては別途 JIS B 8390(容積形圧縮機-試験及び検査方法)/ISO 5208(Industrial valves — Pressure testing of metallic valves)も存在します。


