トランス(変圧器)の放電は、放置すると瞬間短絡による部品の大きな損傷や、設備停止・復旧対応といった重大なトラブルにつながります。本記事では、過去にトランス故障を経験した某製鉄所が、音響カメラ「AL64」を活用し、端子・ブッシング周りの放電兆候を巡回点検の中で早期に「見える化」した背景と効果をご紹介します。
この事例のポイント
- 放電時に発生する超音波を捉え、目視では分かりにくい端子・ブッシング周りの放電兆候を画面上で可視化
- 高圧部へ不用意に近づくことなく、離れた位置から非接触で点検でき、作業環境の安全性が向上
- 日常点検・巡回点検の中で外部接続部の放電兆候を早期に把握し、工数削減と瞬間短絡の再発防止につなげた
電力設備の放電・部分放電の点検でお困りですか?
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- 某製鉄所
- 設備名称
- モールド式トランス(容量600kVA/一次電圧6,600V/二次電圧600V)
- 点検対象
- 一次側端子・ブッシング周り(外部から確認できる端子部・ブッシング部)
- 目的
- 外部から確認できる放電兆候の早期把握(日常点検・巡回点検)
- 使用製品
- 音響カメラ「AL64(アルゴリーク)」
トランス(変圧器)の放電とは|瞬間短絡による設備停止・故障のリスク
某製鉄所様では、過去にトランスの故障が発生していました。故障したトランスでは、2次側導体間・ブッシング間での放電が要因と考えられており、瞬間短絡により部品が大きく損傷していました。
同様のトラブルが再発すると、設備停止や復旧対応に大きな影響が出る可能性があり、放電の兆候を早い段階で捉えることが課題となっていました。
今回の対象トランスの仕様は、容量600kVA、一次電圧6,600V、二次電圧600V。故障したトランスはモールド式であり、今回の点検では内部放電の診断ではなく、外部から確認できる端子・ブッシング周りの放電兆候を早期に確認することが求められていました。
課題|端子・ブッシング周りの放電兆候を安全に点検する難しさ
放電の兆候は、目視や経験だけでは捉えにくく、特に通電中の高圧設備では確認作業に危険が伴います。某製鉄所様では、次のような課題がありました。
- 放電は目視で分かりにくい — 端子・ブッシング周りで生じる放電は、外観だけでは兆候を把握しづらい。
- 高圧部への接近が危険 — 通電中の高圧部に近づいて確認する作業は安全上のリスクが大きい。
- 巡回点検の中で早期に把握したい — 特別な停電作業ではなく、日常点検・巡回点検の中で放電兆候を早く捉えたい。
解決策|音響カメラ「AL64」でトランスの放電(部分放電)を可視化
そこで提案したのが、音響カメラ「AL64」です。AL64は、放電時に発生する超音波を検出し、音源の位置をカメラ画面上に可視化できます。これにより、作業者が高圧部へ不用意に近づくことなく、離れた位置から端子・ブッシング周りの異常音を確認できます。
今回の点検対象は、トランス内部ではなく、一次側端子・ブッシング周り、特に外部から確認できる端子部・ブッシング部に限定しました。内部放電診断ではなく、過去に故障要因となった外部接続部周辺の放電兆候を、日常点検・巡回点検の中で早期に把握する目的で活用いただいています。
- 放電の超音波を可視化 — 放電時に発生する超音波を検知し、目視では分かりにくい放電兆候を画面上の音源位置として確認できる。
- 離れた場所から非接触で確認 — 高圧部に近づかずに点検でき、作業環境の安全性が向上する。
- 巡回点検に組み込みやすい — 特別な停電作業を伴わず、日常点検・巡回点検の中で外部接続部の状態を確認できる。
| 比較ポイント | 従来の点検方法 (目視・近接確認) |
音響カメラ AL64 |
|---|---|---|
| 端子・ブッシング周りの放電兆候 | 外観だけでは兆候を把握しづらい | 放電時の超音波を捉え、音源位置を画面上で可視化 |
| 高圧部の安全性 | 通電中の高圧部に近づいて確認する必要がある | 離れた位置から非接触で確認でき、安全性が向上 |
| 点検への組み込みやすさ | 確認に手間と時間がかかる | 日常点検・巡回点検の中で早期に兆候を把握 |
導入効果|巡回点検で放電を早期検知し、工数削減・作業環境改善
通電したままの状態で、一次側端子・ブッシング周りをAL64で確認しました。画面上に音源位置が表示されるため、作業者は放電が疑われる箇所を直感的に把握でき、高圧部に近づくことなく外部接続部周辺の状態を確認できるようになりました。
- 放電兆候の早期把握(放電検知) — 過去に故障要因となった外部接続部周辺の放電兆候を、巡回点検の中で早期に捉えられるようになった。
- 作業環境の改善 — 高圧部に不用意に近づかず、離れた位置から非接触で確認できるため、点検時の安全性が向上した。
- 点検工数の削減 — 画面で音源位置が分かるため、手探りの確認作業が減り、日常点検・巡回点検に無理なく組み込めるようになった。
- 瞬間短絡の再発防止につながる予防保全 — 放電兆候を早期に把握することで、瞬間短絡による部品損傷・設備停止の再発リスク低減に役立てられる。
結果として、目視や経験に頼っていたトランスの放電点検を「画面で見える化」することで、高圧部に近づかず、巡回点検の中で放電兆候を素早く確認できるようになりました。工数削減・作業環境改善とあわせて、過去の故障要因への備えとしても活用いただいています。
