エア漏れ可視化とは:見えないリークを「見える化」する技術
エア漏れ可視化とは、配管・バルブ・継手などから漏れている圧縮空気を、音響・熱・気泡などのセンシング技術を使って画像や数値として視覚化する技術の総称です。圧縮空気は無色透明で、しかも漏れの音は工場騒音にかき消されてしまうため、肉眼や聴覚だけでは検出が難しいのが現実です。
この「目に見えない問題」を可視化することで、どこから・どれくらい漏れているかを1〜2秒で特定でき、修理の優先順位付けや投資判断が一気に進みます。米国エネルギー省(DOE)も、可視化技術の中でも特に超音波音響検出器を「漏れ検知の最良の方法」として公式推奨しています[1]。
なぜエア漏れの可視化が必要なのか
可視化技術を使わずにエア漏れ対策をしようとすると、現場では次の3つの問題に必ず突き当たります。
1. どこから漏れているか分からない
大規模な工場では配管総延長が数百メートル〜数キロにおよびます。聴覚だけで漏れ箇所を一つひとつ特定するのは現実的ではなく、点検作業に膨大な工数がかかります。
2. どれくらいの漏れなのか定量できない
仮に漏れ箇所を見つけられても、「シャー」と音がする漏れが本当に何万円のロスなのかは、可視化+計測ツールがないと判断できません。漏れ量を数値化できる装置を使えば、修理優先度の判断材料がその場で揃います。
3. 修理優先順位がつけられない
限られた保全予算で最大効果を出すには、「漏れ量が大きい順」に直すのが鉄則です。可視化技術により漏れ量がkW・円ベースで定量できると、ROIの高い順に修理計画を組めます。
エア漏れ可視化の主要な3つの検知方法
現場でよく使われる可視化技術を、特徴・適用範囲・コストの観点で比較します。
| 項目 | 音響カメラ(超音波) | 赤外線サーモグラフィ | 石けん水・気泡剤 |
|---|---|---|---|
| 原理 | 超音波(20kHz以上)を方向解析しヒートマップ表示 | 漏れ部の温度低下(断熱膨張)を赤外線で検出 | 液体を塗布し気泡で漏れを目視 |
| 速度 | 瞬時(1秒以内) | 数秒〜数分 | 1箇所ずつ手作業 |
| 稼働中検査 | ○ 可能 | ○ 可能 | ○ 可能 |
| 遠距離検査 | ◎ 10m以上可 | ○ 数m | × 直接接触 |
| 漏れ量の定量 | ◎ 機種により損失額表示推奨 | △ 困難 | × 不可 |
| 初期コスト | 中〜高 | 中 | 低 |
METHOD 1音響カメラ「アルゴリーク AL64」
複数のMEMSマイクロフォンを配列(アレイ)した装置で、漏れから発生する超音波(人の可聴域を超える20kHz以上)を方向解析し、画像上にヒートマップで重ねて表示します。DOEは「漏れ検知の最良の方法」と公式に表現しています[1]。
METHOD 2赤外線サーモグラフィ「HIKMICRO(ハイクマイクロ)」
漏れ箇所では圧縮空気が大気開放される際に断熱膨張で温度が低下します。この温度差を赤外線カメラで捉えて可視化する方法です。配管表面の温度ムラからも漏れの兆候を検知でき、エア漏れ以外の電気設備異常やコンプレッサーの過熱なども一台でカバーできます。
METHOD 3漏れ検知液「バブルテスター WZA-901」
古典的かつ確実な方法。配管・継手部に専用の漏れ検知液を塗布し、漏れがあれば泡が立ちます。DOE資料でも代替手法として紹介されています[1]。1箇所ずつの手作業ですが、音響カメラで大まかに当たりを付けた後のピンポイント確認には強力です。
DOE公式見解(直接引用):「The best way to detect leaks is to use an ultrasonic acoustic detector(漏れ検知の最良の方法は超音波音響検出器を使うこと)」[1]。大規模工場・連続稼働ラインでは、音響カメラ系の可視化技術が結論として推奨されています。
音響カメラによるエア漏れ可視化の仕組み
近年主流となっている音響カメラの内部では、以下のステップで可視化が行われています。
- マイクアレイで超音波を捕捉:64個前後のMEMSマイクが、漏れから発生する20kHz以上の超音波を全方向から拾います
- ビームフォーミングで音源方向を計算:各マイクが音を捉えるタイミング差から、音の到来方向を演算で割り出します
- カメラ映像にヒートマップで重ねて表示:可視光カメラの映像上に、音源の強さを色(赤=強、青=弱)で重ねて画面表示します
- AI で漏れ量・損失額を推定:最新機種は機械学習モデルにより、検出した超音波の強度から漏れ量(L/min)と年間損失額(円)を自動算出します
可視化技術の選び方:工場規模・目的別
大規模工場・連続稼働ライン → 音響カメラの自社導入
AI損失額算出機能つきの音響カメラを自社に1台揃えるのが最適です。広い工場を短時間でスキャンでき、検出と同時に修理優先度の判断材料が揃います。当社のアルゴリーク AL64は64個のMEMSマイクと独自AIで漏れ量と年間損失額まで画面表示するため、検出から優先順位判定までその場で完結します。年間損失数百万円規模の工場では、装置の導入コストを数年以内に回収できる試算になります。
中小工場・スポット点検 → 診断サービスを依頼
自社で機材を保有・運用するコストが見合わない場合は、外部の専門業者に診断を依頼するのが現実的です。当社のエア漏れ診断サービスは、専門スタッフが現地で音響カメラを用いて検査し、漏れ箇所・漏れ量・年間損失額・修理優先順位までレポートでお渡しします。年1〜2回の定期診断で十分な工場におすすめです。
限定的な点検範囲・微小漏れの確認 → 漏れ検知液を常備
音響カメラで大まかな位置を特定したあと、工業用の漏れ検知液でピンポイント確認するのが王道の組み合わせです。当社のバブルテスター WZA-901は高発泡・高粘度・防錆・抗菌の4特長を備え、家庭用石けん水では見つけにくい垂直面の微小漏れにも対応。食品・薬品工場でも安心して使えるため、保全現場に常備しておくと心強い1本です。
エア漏れの損失額を、まず無料で試算
コンプレッサー台数・稼働時間・電力単価を入力するだけで、年間損失額・改善後の削減額・CO2削減量を自動計算します。
エアモアの音響カメラ「アルゴリーク AL64」
株式会社エアモアでは、超音波と独自AIで漏れ量を自動推定する音響カメラ「アルゴリーク AL64」を提供しています。64個のMEMSマイクと2-96kHzの広い帯域幅をもち、画面上に検出位置と年間損失コストを円表示します。修理優先順位の判定までその場で完結できる点が特長です。
自社で点検する人員・機材を確保するのが難しい工場様向けには、専門スタッフが現地で診断するエア漏れ診断サービスもご用意しています。導入企業では年間560万円規模の省エネ実績もあります。
「自社にどの可視化技術が合うか分からない」「まず現状を把握したい」といったお悩みは、お気軽にご相談ください。
参考資料
-
U.S. Department of Energy, Industrial Technologies Program. Minimize Compressed Air Leaks(Compressed Air Tip Sheet #3), DOE/GO-102004-1964, Revised August 2004.
https://www.energy.gov/sites/prod/files/2014/05/f16/compressed_air3.pdf -
U.S. Department of Energy / National Renewable Energy Laboratory. Improving Compressed Air System Performance: A Sourcebook for Industry, DOE/GO-102003-1822, November 2003.
https://www.energy.gov/sites/default/files/2014/05/f16/compressed_air_sourcebook.pdf
※ 本記事の「超音波音響検出器が漏れ検知の最良の方法」「20-30%の損失率」「石けん水検知の補助手法位置づけ」等の記述は、上記DOE公式資料に基づいています。音響カメラの内部仕様(ビームフォーミング・マイクアレイ)は一般的な音響工学の知識に基づきます。


